築53年、玉石基礎でできた古民家の耐震補強リフォームです。先代が当時山から切り出して建てた思い入れのある住まいをどうしても残したい、時間の詰まった柱・梁に囲まれて落ち着いて暮らしたいとお話をいただきました。
アルミの玄関引き戸を取り払い新たに木製格子戸を設けました。暗めの玄関に四角い光がこぼれ、本来の古民家らしさを引き出します。
縁側と畳はバリアフリーで連続させることで広々とした印象に。建具を取り払いランマの一部をくり抜くと、区切られていた空間は同じ光に満たされて一体につながります。伸びやかな障子越しに日差しが入り、日向ぼっこに最適な縁側になりました。
昔ながらの田の字プランは収納が少ないため、奥の2部屋に収納と水回りを集約し裏動線を確保しました。家事動線が一直線になって合理的です。
リビング・ダイニングは、柱・梁を隠していた既存の壁・天井ボードを撤去し、年月を経て飴色になった木構造を現しとしました。床材や造り付家具は深い色のブラックウォールナットを選択、新旧が調和します。
古民家の持つ要素を1つ1つもとの姿へ戻しブラシアップするだけで、自然に本来の魅力がよみがえりました。